Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate

Aozora Bunko

立とうにも腰が抜けているし、物云おうにも声が出ん。その中に眼がボウ――ッとなって来て、これは大変が出来たと思うた時にはモウ横に寝ているやら、座っているやら自分でも判然んようになっております。ただ左右の耳だけがハッキリ聞こえておりますので、それをタヨリに部屋の中の動静を考えておりますところへ、聞慣れた近所の連中の声がガヤガヤと聞こえて来ます。気の早い連中で、モウ棺箱を担い込んで来ている模様です。

『馬鹿共が。又三人も死んでケツカル。ほかに喰う品物が無いじゃあるまいし』

『知らぬ菌蕈喰うて死んだ奴と鰒喰うて死んだ奴が一番、見ともないナア』

『駐在所にゃ届けといたか』

『ウン。警察では又かチウて笑いよった。いま警察から医師が来て診察するち云いよった』

『診察するチウて脈の上った人間はドウなるもんかい』

『棺の中へ入れとけ。ドッチにしても形式ばっかりの診察じゃろうケニ』

『蓋だけせずに置けや。親兄弟が会いげに来るケニ……』

『親兄弟も喜ぼうバイ、此輩どもが死んだと聞いたならホッとしよろう』

『可哀相に……泣いてやる奴も居らんか……電信柱の蝉ばっかりか。ヤ……ドッコイショ……』