Classici giapponesi con furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate
『重たいナア。死んだ奴は……』
『結構な死態タイ。良え了簡バイ。鰒に喰われよる夢でも見よろう』
『ハハハ。鰒の方が中毒ろうバイ』
『しかしこの死態をば情婦い見せたナラ、大概の奴が愛想尽かすばい。眼球をばデングリ返いて、鼻汁垂れカブって、涎流っとる面相あドウかいナ』
『アハハハ。腐った鰒に似とる。因果覿面バイ』
『オイオイ。ここは湊屋の仁三郎が長うなっとる。誰か両脚の方ば抱えやい』
『待て待て。その仁三郎は待て。今俺が胸の処をば触って見たれあ、まだどことのう温い様ある。まあだ生きとるかも知れん』
『ナニ。生きとるかも知れん。馬鹿吐け。見てんやい。眼球ア白うなっとるし、睾丸も真黒う固まっとる。浅蜊貝の腐ったゴト口開けとる奴ばドウするケエ』
『まあまあ。そう云うな。一人息子じゃけに、念入れとこう』
この時ぐらい親の恩を有難いと思うた事は御座いません。親というものが無かったならこの時に私は、ほかの連中と一所に棺箱へ入れられて、それなりけりの千秋楽になっておりました訳で……。
『その通りその通り。助けてくれい助けてくれい』
と呼ぼうにも叫ぼうにも声は出ず、手も合わせられませぬ。