Classici giapponesi con furigana
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きんがんげいしゃとめいきゅうじけん
近眼芸妓と迷宮事件
夢野 久作
Leggi 近眼芸妓と迷宮事件 (きんがんげいしゃとめいきゅうじけん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.490 caratteri · 23 schermate
愛子は又耳元まで赤くなった。涙を一しずくポロリと膝の上に落した。
「うんうん。わかっているよ。だからあの時も、そのお客の事を俺に話さなかったんだね」
愛子は丸髷を、すこしばかり左右に振った。シクリシクリと歔り上げ初めた。
「そうかそうか。そのお客だけがタッタ一人好いたらしい人だった事を、あの時は思い出さなかったんだね」
愛子は微かに震えながら頭を下げた。多分謝罪っているつもりだったのだろう。俺は一膝乗り出した。
「そこでねえ。話は違うが、昨日アンタはどこか、電車か何かの中で三人切りになった事があるかね。ほかの二人は男だった筈だが……」
愛子はビックリしたように顔を上げた。
「どうして御存じ……」
「アハハ。この手紙に書いてあるじゃないか。どこだい、それは……」
「昨日、伯父さんの法事をしに深川へまいりました」
「アッ。月島の渡船に乗ったんだね。成る程成る程。その時にアンタと一緒に乗っていた二人の男の風体を記憶えているかね」
愛子は恐ろしそうに身体を竦めた。俺が社会主義者の事でも調べていると思ったんだろう。例の黒眼勝の眼をパチパチさせながら唇を震わした。
「妾は眼が悪う御座いますので、三尺も離れた方の風体はボーッとしか解りませんが……」