Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
蜂谷のぽってりとして、不明確だけれども正直そうな表情を見たら、伸子はかえって気持が自由になり、責任感のようなものを目ざまされた。
「蜂谷さん、少しホームシックなのかもしれないことよ」
ほんとに伸子はそう思った。
「そろそろ、メトロへのりましょうよ。その方が無事よ」
「僕は無事でなんかなくていいんだ」
「だめ! そんな駄々っ子みたいなこと云って……」
伸子は、こだわりの去った笑いかたをした。すると蜂谷良作は、しんからむっとしたような顔を伸子に向けた。
「僕は、決してホームシックなんかじゃない。僕の結婚生活って、そういうんじゃないんだ」
じゃあ、どういうの? 誘われそうになる言葉を、伸子は自制した。日本に暮している蜂谷良作の妻は小児科の女医だった。蜂谷は、いろいろの場合、細君と子供の生活は、彼にかかわりなく自立してゆける方がいいと考えて、そのひとと結婚した。少くとも進歩的な立場で経済学なんかをやってゆこうとすれば、一生のうちに、いつ、どんなことで失職するかもしれない。日本のようなところではもっとわるいことさえ起るかもしれない。それでもいいという人とでなければ、いざというとき、財産もない自分に結婚なんかできない。