Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
亀田のアトリエには、主人公である亀田という画家そのひとについている一種のゆとりの雰囲気があって、クラマールの生活で伸子のいちばん心やすい場所だった。亀田の細君は、夫の芸術を理解し、それをたすけようとしているこころもちを、やすくて、うまい手料理の上手さや生れつき器用な洋裁の稽古にあらわしている。
「どうせ、うちのようにおとなしい人は佐賀多さんみたいな巨匠になれっこはないんですもの」
その晩も、男連中の間にかわされている話の中にいながら、女たちだけの話題で、彼女はそのころ日本人画家としてパリで名声を博していたひとの名にふれた。
「貧乏画家ぐらしは一生つづくとかくごしていますわ。だから、わたしは、かえってのんきよ。いまの生活をわたしなりにたのしんでいますの――幸福ってそういうもんじゃなくて? ありあわせでも、おいしくたべる術だわ」
格別伸子の返事をもとめるわけでもなく、さえずるような調子で云って、亀田の細君はフランス女をまねてちょっとコケティシュな身のすくめかたをした。亀田の細君の膝の上では、縫いかけの婦人帽の蕊がいじられていた。
「感心でしょう? わたしはこれでもうじき一人前の裁縫師になれますのよ、三年つづけたんですもの。