Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
間で、まだ若い父親の腕の上でじっとしている小さな子の白服の軽やかさは、思いがけない樹の幹にまだ羽根のしめっぽい稚い白い蝶々がとまっているのを見つけだしたときのような感情を伸子に抱かせるのだった。シャツの上から古びた緑色と茶色の縞ビロードのチョッキを着て、白い大前掛をかけた小僧が、人ごみの間をすりぬけながらすべるような歩きつきでわざと伸子に向ってまっすぐにやって来た。一歩のところで、小僧は巧みに両脚をくねらせて上目使いに伸子を見、身をかわし、通りすぎ、三歩ほどうしろで口笛を鳴した。
このモンパルナスをさかのぼって伸子たちは歩いて行っているのだった。人波が段々遠ざかった。広い歩道の灰色と新緑の調和が街すじの上に遠く見とおせるところへ出て来た。その辺で黒い山高帽はごくまばらになった。ショウ・ウィンドウを見ると、その内部の壺にミモサの花がふっさりと活けてあって、そこは額ぶちや絵具を売っていた。店さきに親しみぶかく新聞や雑誌をつるして、小さい書籍店もある。ステーションのまわりのモンパルナスが中どころ以下の取引の金銭でほこりっぽくされているとすれば、この辺は絵描きや文学者のモンパルナスだった。