Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
厚いその手紙のたたみめがふくらみすぎていて封筒がやぶれた。おもしをかってから封することにして、伸子は四つ折にした手紙の上へ本や字引をつみかさねた。
丁度そのとき、素子が勉強をひとくぎりして、椅子を動かした。
「あああ!」
部屋着の背中をのばすように二つの腕を左右にひろげて、素子は断髪のぼんのくぼを椅子の背に押しつけた。
「ぶこちゃん、どうした。いやにひっそりしてたじゃないか」
「――手紙かいてたから……」
「そう言えば、そろそろわたしもおやじさんに書かなくちゃ」
きょう大使館からとって来た日本からの郵便物の中には素子あての二三通もあった。うまそうにタバコをふかしながら素子は、
「きみんところなんか、まだ書いても話の通じる対手がいるんだから張り合いもあるけれど、わたしんところは、結局何を書いたって猫に小判なんだから」
と云った。
「いきおいとおり一遍になっちまって……どうも――」
京都で生れて、京都の商人で生涯をおくっている素子の父親やその一家は、素子を一族中の思いがけない変りだねとして扱っていた。まして、素子を生んだ母が死んだあと、公然と妻となったそのひとの妹である現在の主婦は、素子の感情のなかで決して自然なものとして認められていなかった。