Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
須美子の父の登坂教授に対してもすまないという風に素子は云った。
「ちょっと待って下さい。すぐ仕度しますから」
磯崎につづいて、素子、伸子がデュトの家へ着いたとき、ドアをあけた須美子は、泣きたい涙はもう一人でいるうちにすっかり流したという疲れた蒼い顔だった。
「ごめん下さい。おさわがするようなことになってしまって」
一人一人、素子と伸子の手を握った須美子の握手に、しずかな言葉づかいのうちに抑えられている悲しさの力がこもった。磯崎が、子供の棺のおかれている隣室へ去ったとき、須美子は、黒い服の膝の上においている両手の指をかたく組み合わせ、くい入るようにつぶやいた。
「こんな思いもかけないことになってしまって――。あちらの御両親は、何とお思いになるでしょう」
二
磯崎の子供の葬式の日は雨だった。
ペイラシェーズの墓地のなかに建てられている礼拝堂のような火葬場の祭壇風の大扉のむこう側で、子供の屍をやく焔が燃えた。とけるように赤い焔の色が、そのかげに棺がはいって行った祭壇風の高いところにある扉のガラスからのぞかれるのだそうだった。磯崎恭介は、はじめて子をなくした若い父親の感情と芸術家の追究心と二つに心を奪われている表情で、その扉に顔をよせている。