Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
そしてますますきつく両手の指を膝の上でからみ合わせながら、かたく目をつぶった。厚い美しいおかっぱのきりそろえられている頸すじを、苦痛に向ってもたげたまま。――
柔かくてひろいベッドの上に背中をのばして、伸子は須美子のことを思った。ホノルルにいた二週間が、わたしの一生のうちでは、一番幸福なときだったのかもしれませんわ。デュトの家でそう云った須美子。こんな思いがけないことになってしまってあちらの御両親は、何とお思いになるでしょう。自分の歎きよりも先にそう云った須美子。――
「ちょっと! こっちへ来られる?」
伸子は、向いの自分の室で、横になっているらしい素子に声をかけた。
「何さ」
「こっちへ来て」
「自分で来りゃいいじゃないか」
そう云いながら、やがて入って来た素子は、もうパジャマに着かえていた。
「何だ! まだそのまんまか。ぬぎなさい、ぶこ。だめだよ、いつまでも亢奮していちゃ」
伸子は、ねたまま寝台のわきへ来て立った素子の手をとった。
「ね、磯崎さんて、これからも花なんかしきゃ描かないつもりなのかしら」
「どうだか……。なぜさ、またいきなり――」
「考えていたら、妙な気がして来てしまった――磯崎さんにはあの須美子さんが見えないのかしら」