Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
その同じ恐怖が、この船艙によりかたまった弁髪の人々の存在にふるえている。岸壁で荷役をして、酷使されている灰色の苦力の大群のなかを貫きふるえている。その大量な恐怖は憎悪にかわりかかっている。憎悪は、感情からやがて組織をもって行動にうつろうとしている。吼えろ 支那! 彼等の憎悪は偉大であり、歴史のなかに立っている。観客席で伸子はかすかに身ぶるいを感じ、両腕で胸をかかえるようにした。あなたの国の人たちと、わたしの国の人たちと、どっちが苦しい生活をしているんでしょうねえ。ゆっくり、柔かく、沈んだ声でそう云ったのは、中国婦人のリン博士だった。それはメトロポリタンの奇妙な室でのことだった。いま、篝火のようにメイエルホリドの舞台いっぱいに燃え上って、観客の顔々を照し出している憎悪にくらべれば、伸子のもっている憎悪はほんとに古くて小さい。家だの血だのに絡まっている。「冷酷な血はあなたの心の中にも流れています。そのあなたがロシアへ行ってからの生活で――」ロシアに何があり、伸子がどうなるというのだろう。多計代の偏見では判断のつかない大きな憎悪が行動となって舞台に溢れ、真実の力と美の余波で伸子の小さい憎悪さえも実感にきらめかした。