Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
「…………」
黙って肯いたまま司会者の云うことを終りまできいていた素子は、
「挨拶する、って云ってる――ぶこ、おやり」
と云った。
「どうして!」
当惑している伸子たちの前へ、司会者が来た。そして、
「どうぞ。みんな非常によろこんでいます」
二人のどちらとも云わず、一寸腰をかがめた。素子は、はためにもわかるほど椅子の上に体を重くした。
「ぶこちゃん、何とかお云いよ」
「困った――何て? ね」
押問答しているうちに、人々の間から元気のいい、催促するような拍手がおこった。
「ダワイ! ダワイ!」
そういう声もする。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)についた翌日、馬方が馬をはげましていた陽気なかけ声をきくと、伸子は何を何と云っていいのか分らないままに、赤い布で飾られている演壇に上った。小さい伸子の体がかくれるように高い演説者のためのテーブルをよけて、演壇のはじっこまで出て行った。すぐ目の下から、ぎっしりと男女組合員のいろいろな顔が並んで、面白く珍しそうに、壇の上の伸子を見上げた。その空気が伸子を勇気づけた。伸子は、ひとこと、ひとこと区切って、
「みなさん」
と云った。