Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
牛の子みたいだよ」
「こっち向いて! おかあさま。このひとも牛の子にして」
電燈を消そうという気になる者のいない寝室で、妻と二人の娘が一つ寝台の中でごたついている光景を、泰造は隣りの寝台からまばたきもしないで眺めていて、笑った。
「なかなか、いい景色だよ」
「お父さま、すみませんね、おひとりで……」
多計代にはめずらしい愛嬌だった。
「いいわ、お父さま。いまにそっちへ行って、お父様もサンドウィッチにしてあげるの」
そういうのはつや子だった。伸子は、笑って何とも云わなかったが、父のよこにねることには、伸子だけのはずかしさがあった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ立って来る前、もうそれは十二月にはいってからの東京の寒い夜のことだったが、泰造は風邪気味だといって早く床にはいっていた。その枕もとへ行って、伸子は朝鮮銀行のことか何かきいた。用事がすんでも話していた伸子が、この部屋、思ったよりさむいのね、と云ったら、泰造は、何だ、座蒲団もしいていないじゃないか、ここへおはいり、さ、いいからおはいり、と夜着の袖をもち上げて、そのなかへ伸子をいれた。そして、こんな手をしている、とひやひやになっている伸子の丸くなめらかな手を、あったかい自分の両手の間にはさんだ。