Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
金ぶちに浮織絹をはった長椅子のある立派な広い室で、藤堂駿平は多勢の人にかこまれながら立って、葉巻をくゆらしていた。モーニングをつけている彼のまわりにいるのは日本人ばかりだった。控間にいた秘書らしい背広の男に案内されて、彼のわきに近づく伸子を見ると、藤堂駿平は、鼻眼鏡をかけ、くさびがたの顎髯をもった顔をふりむけて、
「やあ……会いましたね」
と東北なまりの響く明るい調子で云った。
「モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)は、どうです? 気に入りましたか。――うちへはちょいちょい手紙をかきますか?」
伸子が、簡単な返事をするのを半分ききながら、藤堂駿平は鼻眼鏡の顔を動かしてそのあたりを見まわしていたが、むこうの壁際で四五人かたまっている人々の中から、灰色っぽい交織の服を着て、いがくり頭をした五十がらみの人をさしまねいた。
「伸子さん。このひとは、漢方のお医者さんでね。このひとの薬を私は大いに信用しているんだ。紹介しておいて上げましょう。病気になったら、是非この人の薬をもらいなさい」
漢方医というひとに挨拶しながら伸子は思わず笑って云った。
「おかえりまでに、わたしがするさきの病気までわかると都合がいいんですけれど」