Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とおのへ

遠野へ

水野 葉舟

Leggi 遠野へ (とおのへ) di 水野 葉舟 (みずのようしゅう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.903 caratteri · 117 schermate

Aozora Bunko

仮りに死んでいるような、自然の姿の単調さに心が倦んで行く。すると、鈍色をした、静まり返った自分の周囲の光景が、かえって心をいらだたせるのであった。

私は何よりもまず、賑やかな東京の夜が恋しく思われてくる。

S君も――これは私の東京での友人で、この村の人だが――、この人は私よりも強く東京が恋しくなっていた。

S君は毎年冬と夏とは家事の監督や、仕切りをするために、東京から帰ってくる、この村の地主の一人だ。東京ではのどかに書籍の中に没頭して暮している。それに年もまだ若いのだし、郷里に帰って来ても、いつも用事がすむと、すぐに東京に帰って来てしまうのだが、私が来ると言うので、暮れから三月になるまで、この雪の中で辛抱して、待っていた。……だからその飽き方もひどい。

私の顔が何か新しいものでも持って来たと見えて、来た当座は、闇の中でぱっとものが光ったように、S君の心持ちも一時生々した。しかし、それもしるしばかりで、次では私の心まで、この陰鬱な空気が沁み込んでしまった。

この頃は二人とも、よく欠伸をした。大きな薄暗い室の中で、炬燵にあたりながら、張りのない目付きをして、日を送った。