Classici giapponesi con furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (つげびと) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.955 caratteri · 71 schermate
「そうか、そんならおまえのすきにしてくれや。それじゃ松や、おかあさんはね、すこし休むちから、さあ甘甘にしようよ」
老人はそのままお台屋へはいる。源四郎は妻をうながして納戸へ送りやった。
まま母ははじめから口もださず手もださず、きわめて冷然たるものであった。老人は老妻の冷淡なるそぶりにつき、二言三言なじるような小言をいうたに対し、
「わたしゃなにもかまいやしません。お政がひとりで腹をたってるのは、わたしにもしようがありませんもの」
まま母のものいいは、歯にもののはさまってるような心持ちに聞こえるけれど、やさしい老人はそのうえ追及もしなかった。源四郎はもちろん妻のしぶりに同情しているが、さりとてまま母の冷淡に憤慨するでもない。黙って酒を飲み、ものを食っている。雨はいよいよ降りが強くなってきたらしい。
翌日は意外な好天気で、シギが朝早くから例のせんだんの木に鳴いている。
二十年まえに離別した人でこの家の人ではないけれど、現在お政の母である以上は、祭りは遠慮したほうがよかろうと老人のさしずで、忌中の札を門にはった。ものざといお政は早くも昨夜のことは自分の胸ひとつにおさめてしまえばなにごともなくすむことと悟って、朝起きる早そう色をやわらげて、両親にあいさつし昨夜の無調法をわび、そのまま母の喪におもむいた。