Classici giapponesi con furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (つげびと) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.955 caratteri · 71 schermate
た。
細君は、こうひととおり話しおわってから、
「わたしはどうも、あまり好ましくないけれど、乳しぼりもなくてはじつにこまるから、おいてみましょうねえ」
とつけくわえた。主人も聞いてみると、すこしはうわさに聞いたことのある、花前という男だ。変人で手におえないとも、じつはかわいそうな人間だともいわれて、府下の牛乳屋をわたっていた乳しぼりである。主人はしばらく考えたのち、
「それはうわさに聞いたことのある変人の乳しぼりだ。朝おきるのがたしかで乳しぼりがじょうずなら、使ってみようじゃねいか。うまくいかぬことがあったら、それはそのときのこととして、とにかくおいてみるさ」
細君も不安なりに同意して、その乳しぼりをおいてやることになった。牛舎のほうでは親牛と子牛とを引き分けて運動場にだしたから、親牛も子牛もともによびあって鳴いてる。二、三日ぶり外へだされた乳牛は、よろこんでしきりに運動場をとびまわる。
洗濯物に気をとられてる細君の目には、雨あがりのうるおった庭のおもむきも、すいれんのうるわしい花もいっこう問題にはならない。
「それじゃそう」
との一言をのこして、また木戸から細君はでていった。