Classici giapponesi con furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (つげびと) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.955 caratteri · 71 schermate
前後左右に係累者はまといついてる。なにをひとつするにも、自分のみを標準として動くことはできぬ。とうてい社会組織上の一分子であるから、いかなる場合にも絶対単独の行動はゆるされない。
それでつまりよいかげんなことばかりをやって、まにあわせのことばかりいっておらねばならぬ。それというのも、義務とか責任とかいうことを、まじめに正直に考えておったらば、実際人間の立つ瀬はない。手足を縛して水中におかれたとなんの変わるところもない。
このせつない覊絆を脱して、すこしでもかってなことをやるとなったらば、人間の仲間入りもできない罪悪者とならねばならぬ。考えれば考えるほどばかげているけれども、それをどうすることもできないのがわれわれの生活状態である。
こう思うと自分がどれだけ花前に勝っているか、いよいよわからなくなる。むしろどうか一度でもよいから花前のような生活がしてみたくなってくる。
要するに、自分を強く意識するのがわるいのだ。自分を強く意識するから、世の中がきゅうくつになる。主人はこんな結論をこしらえてみたけれど、すぐあとからあやふやになってしまった。自分と花前との差別はどう考えても、意識があるのとないのとのほかない。