Classici giapponesi con furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (おちぼ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 25.621 caratteri · 52 schermate
「おめいばかにひまとれるから始めっちゃった。」
新兵衛はこういいながら、女房にもお菊にもお茶をついで出した。
「さあお菊さん菓子とらねいか鉄っさんのおごりだからえんりょはいらねいよ。」
それをお菊はわざと耳にもとめないふうに、
「ねいここんおかあ銀杏返しには根かけなんかねいほうがよかねかろかい。」てれかくしにお菊がそういうとわかりきっているけれど女房は、
「この節はほんとうにさっぱりした作りが流行るんだかっねい。」と、そのてれかくしをかばうふうであった。
女は一方ならぬ胸騒ぎが、つつみきれないようすで、顔は耳まであかくなってるのが、自分にはいじらしくしてたまらなかった。自分もらちもなく興奮して、じょうだん口一つきけない。ただ女が自分と顔を向き合わせないために自分はかえって女から目を離せなかった。そうして自分が買って来たと知れてる菓子を、女が見向きもせぬのが気にかかった。
「ふたりともまだ若いやねい。」といいたそうな顔をして、ふたりを上目で見てるらしい女房は「お菊さん菓子たべねいかよ。」といいながら、一握りの菓子をとって、しいて女の手に持たした。女はそれをあえて否みもせず、やがて一つ二つ口に入れた。