Classici giapponesi con furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (おちぼ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 25.621 caratteri · 52 schermate
」
自分はわれ知らず立って、心の狼狽を見せまいとした。が、どぎまぎした自分の挙動が、われながらおかしかった。やや酒気をおびた金蔵じいは、みょうな笑いようをして自分を見つめながら、
「ここにこんな人がいようとは思わねいもんだからははははは。」
「産土様があんまり変わってしまったから……」
「きょう来ましたか、どうしてまた今じぶん急にはあ。」
彼はそういってなお自分を見つめるのであった。彼は自分が村におった時のすべてを知ってる男なのだ。
「いや十年ぶりで来て見ると、村のようすもだいぶ変わったようだね。この産土の松は何年ごろ切ってしまったのだい、いやもうどうも。」
彼は自分の問いに答えようともせず、「まあごめんなさい。」というなり行ってしまった。自分はあとでなにか狐にでもつままれたような気持ちで、しばらくただぼうっとしていた。そうしてわれにかえった時に、せっかく興にいった夢をさまされたような、いまいましさを感じた。
自分は社を出て家に向かった。道すがらまた、新兵衛の女房の介錯で、お菊を隣村の夜祭りへ連れ出したことや、雉子が鳴いたり、山鳥が飛んだりする、春の野へお菊をまぜた三四人の女達とわらびをとりに行った時のたのしさなど思い出さずにはおられなかった。