Classici giapponesi con furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (おちぼ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 25.621 caratteri · 52 schermate
大いにおもしろくない。出て来い出て来い、遊ぶつもりで大学にいるのもしゃれてるだろうというような、大木の返事にいよいよ元気が出てやって来たのである。
矢野は親父が医師で、家計上どうしても医師にならねばならなく、やむを得ず医学をやるけれど、矢野は生来医師を好んでいないのだから、そこにすでに気の毒なところがあるのに、去年春ごろからとかく呼吸器が悪い。大木は矢野の境遇に同情して、内心非常に矢野の病気を悲しんでいる。矢野自身よりも、矢野の親族の人達よりも、かえって深く矢野の病気を悲しんでいる。矢野に対する大木の一言一行、それははがきに書く文字のはしにまで、矢野を思う心がこもっている。それで矢野もまた大木の手紙を見、大木の話を聞けば自ら元気づくのである。
矢野は家を出るときはすこぶる威勢よく出たけれど、汽車ちゅう退屈してよけいな事を考えたり、汽笛の声が妙に悲しく聞こえたり、いやにはかない人の話を聞いたり、あれもきっと肺病だなと思われるあおい顔の人などを見たりして、そぞろに心寂しく、家を出た時の元気は手を返すように消え失せた。一年休めばよかった、出て来ねばよかった。