Classici giapponesi con furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (おちぼ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 25.621 caratteri · 52 schermate
それでも宿へ帰る時は、何か必要な用事があって歩いて来たというふうに、袴羽織に物の包みをかかえてさっさと帰って来る。宿の亭主や女房にていねいにあいさつされると少しおかしいけれど、いよいよまじめなふうをして通ってしまう。
こんなふうにやるのがかえっていいかも知れぬと思う。医書を買うのは、何かまじめな事務に取りかかるような気がしておっくうでならない。矢野はこういう調子に日を送るのが、自分には出来ないことなのを二三日自然にやり得たから、それが得意にも思われるけれど、なんとなし物足らなくも思われる。でも、しかたがないからできるようにやるさと、ひとりでおぼつかなく考えをまとめて寝てしまう。
中島も木島も時々来る。矢野もときどきふたりのところへゆく。ふたりはずいぶん乱暴にさわぎもするけれど、よく勉強もする。中島と木島とはもとより話の合うべき性質ではないが、矢野の目から見るふたりは、やろうと思う事を力かぎりやって、疲れては投げだしたように休む。する事がきびきびとしていて、苦労なんかは少しもないようだ。矢野には何をしたって、そうきびきびとはやれない。ふたりの話を聞けば、苦しくもあり心配もあるというけれど、矢野の目に映ずる彼等の苦しみとか心配とかいう事は、心の底からいうことではなく思われる。