Classici giapponesi con furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (おちぼ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 25.621 caratteri · 52 schermate
ずいぶんいやしい職業のようにも思われる。しかし人が平気でやることを自分にばかりできないわけはない。いやだと思うのは自分の幼稚なのだ。どうしたって自分は医者にならねばならぬのだ。
矢野はこんな事を考えつつ帰って来た。いつにもなく疲れて飯がうまく食えなかった。
机の上にみ篶子からの絵はがきと妹からの封書がきてる。「紅葉の絵はがき有難く候一月休みのお帰り待上候。」とあるはみ篶子の消息だ。物足らないようでかえってゆかしい。恋しさが胸にしみ入るように悲しい。妹のは例によって長い。「日光よりのお便りは家中驚きそれほどじょうぶになったかと父も母も一通りならぬ喜び、自分も神様へ礼参りを致し候。」とある。矢野はすぐに気が沈んできた。物悲しく寂しくてたまらなくなった、二三日寝汗をかいたことを思い出し、人々の希望にそむくようになりゃしないかという懸念が、むらむらと胸先へ激りきて涙がぼろぼろと落ちた。「こうおれも気が弱くてはしかたがない。」と強く思い返して見ても、なんの踏みこたえもなく悲しくなってしまった。矢野はたえられない思いで、立って窓の外を眺める。窓の先は隣家のやねで町は少しも見えない。