Classici giapponesi con furigana
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きんどけい
金時計
泉 鏡花
Leggi 金時計 (きんどけい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5568 caratteri · 12 schermate
中
」
「貴下はほんとに智慧者でいらっしゃるよ。百人足らずの人足を、無銭で役ってさ。」
「腰弁当でやって来るには感心したよ。」
「ほんとにねえ。あのまあ蛇のいそうな草原を綺麗にらして、高見で見物なんざ太閤様も跣足ですよ。」
「そうかの。いや、そうあろう。実は自分ながら感心した。」
と揚々として頤髯掻い撫ずれば、美人はひたすら媚を献じ、
「ねえ貴下、私はなんの因果で弱小な土地に生れたんでしょう。もうもうほんとに愛想が尽きたんですよ。」
へいげんは頷きて、
「そうありたい事だ。こういっちゃ卿の前だが、実に日本人は馬鹿さな。しかしあんまり不便だ。せめて一件の金時計を蔭ながら拝ましてやろうか。」
と衣兜を探りて、金光燦燗たる時計を出だし、恭しく隻手に捧げて遥に新開地に向い、陋み嘲けるごとき音調にて、
「そらこれだ、これだ。」
途端に絶叫の声あり、
「あれえ!」
と見れば美人は仰様に転び、緑髪は砂に塗れて白き踵は天に朝せり。
太く喫驚せるへいげんは更に驚きぬ、手中の金時計はすでに亡し。
中
「おい大助。」
卒然従者を顧みて立住まれる少年は、へいげん等を去ること数十歩ばかり後の方にありて、浪打際を散歩せるなり。