Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
「や、これは失礼」
と、その男も帽子をとりながら、久我の顔を見ると、急に剽軽な調子で、
「これはこれは、なんたる奇遇!」
酒鼻……西貝計三だった。
久我も驚いて、
「おう、これは意外でした」
「こんなところで出っくわそうとは思わなかった。……どうです、もしよかったら、そのへんでビールでも……。ついそこに、腹を減らしたわれわれ同業がやってくる、夜明しのおでん屋があるんだ。社会部の若い連中も大勢やってくるから、今朝の事件のニュースがきけますぜ。……どうです、よかったら……」
久我は高い笑い声を立てながら、
「勿論ですとも。結構です、お伴します」
「すぐそこ。……二丁目の鉄砲屋の裏。……〈柳〉というんだ。……われわれ称して〈連合通信社〉。それはそうと、今日の夕刊を見たかい」
「ええ。……でも、われわれが知っている以上のことは載っていなかったようですね」
「そう。……那須ってやつがいまやってくるから、そいつにきくと、もうすこしくわしいことがわかるだろう。……さあ、ここだ」
西貝は久我の腕をとって、小粋な表がまえのおでん屋へつれこんだ。
卓はほとんどみなふさがっていて、湯気と煙草のけむりがもやもやしているなかで、真っ赤な顔が盛んに飲食いしていた。