Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
「それはそうと、西貝さん。……あんたこそ、あの晩どこにいたんです」
きっ、とそっちへふりかえると、厳しく眉をひそめながら、
「なんで、そんなことをきく」
「なんで、ということはないが、あの晩、僕あ〈柳〉で金を足らなくして、二時頃あんたんとこを起したんです。……あんたがいないんで僕あ弱っちゃった。……あそこはあんまり馴染じゃ……」
「銀座にいた」
斬りつけるような返事だった。
壁の大時計が、三時をうつ。
那須が立ちあがって、欠伸をしながら、
「お茶を飲みに出ませんか、西貝さん。そこで、つづきをやりましょう」
「もう、やめだ。かまわず行ってくれ。俺はここで久我を待ってる」
すると、ダニ忠が、いった。
「久我、ってあの若い男、……ありゃあ、特高の第二係じゃないか。……僕あたしかに本庁で見かけたことがある」
狼狽したような眼つきで、相手を見つめながら、西貝がいった。
「第二係? ……そ、そんな馬鹿なことはないだろう」
西貝をのこして、みなが、がやがや言いながら出ていった。
久我が、まず先にやってきた。みなの来るまえに、すこしでも葵と二人きりで、話したかったのだ。広間のまんなかの卓について水を貰った。