Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
葵はうつむいて、くっくっ、と笑いだした。笑いがとまらない風だった。
乾は、いっこう意に介せぬようで、うるさく、ピチャ、ピチャと舌鼓をうちながら、
「……諸氏の顔を見るにつけ、思いだされるのは、遺産相続の件ですて。……あたしはね、最近、あれこれと考えあわせて絲満氏さえ殺されなければ、かならず、いくばくかの遺産を手にいれていたろう、と思って、絲満氏の下手人が憎くて憎くてならんのです」
「面白いですね。それはどういうんですか」
と、まじめに、久我が、たずねた。西貝も葵も、フォークを休めて顔をあげた。
「あの遺産相続の通知は、洒落でも冗談でもない。正真正銘のことだったのです。……告知人は、すなわち絲満南風太郎そのひとだったんで。……あの朝、五人を自分の店へ招んで、それぞれ財産を分与するつもりだった。……思うに、そのひとは、癌かなにか病んで、みずから余命いくばくもないことを知っていた。しかも、手紙の文面から察すると、病態はすこぶる険悪だったのですな」
西貝がふきだした。
「……乾老。あんたも新聞を読んだろうが、絲満って男は、古今未曽有のあかにしだったんですぜ。……その男が、どこの馬の骨かわからないやつに、自分の財産を……」