Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
古田は乾をぐっと引き起すと、
「嘘か本当か、いまにわかる。……嘘だったら、その時あ……」
そういって、じろりと睨みをくれた。
〈糞でもくらえ。貴様こそ用心しろ。いまに思い知らせてくれるから……〉
乾はていねいにおじぎをした。
「どうか、ひらにごかんべん願います」
古田はパチリと鞘音をさせて匕首をしまうと、乾をこづきまわしながら、
「やい! おかげでおれあクビになったんだ。……妹は離縁るしさ、おっ母アは揮発をのむ……まるで、地獄だ。……それもこれも、みなてめえのした業だぞ。……やい、あやまれ! 土下座してすみませんでしたと言え!」
乾は前をはだけたまま、みじめな恰好で床の上に坐ると、ペコペコと頭をさげた。
「なんともどうも、お詫のしようも……」
ようやく顔をあげたとおもうと、顎の下へ猛烈な勢いで古田の靴の先が飛んできた。乾は、ぎゃっ、といって、あおのけにひっくりかえった。這いずりながら扉のほうへ逃げようとすると、また脇腹へ眼の眩むようなやつがきた。思わず、うむ、と呻き声をあげた。古田は乾を床へねじ倒す、こんどは胸の上へ馬乗りになって、力まかせに、止めどもなく撲りつづけるのだった……