Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

……用心なさいよ、おいおいそっちへもお鉢がまわるかも知れないからねえ。……ま、これは冗談だが。……(いつものねちねちした調子で)ねえ、西貝さん、あんたいったいどう思います。あたしあ、もう久我は帰ってこないと思うんだが……。たぶん、上海あたりへ逃げちまったのさ。……若造のくせにいやに舞台ずれがしてやがるから、どうせ只もんじゃないと睨んでいたんだ。……それにね、あたしのことを古田にいいつけたのは久我の野郎なんですぜ。だから……、あたしにあこうも思われるんです。古田はただ張扇を叩いただけで、きょうの修羅場を書下したのは、じつは久我なんじゃないか、ってねえ。……古田を煽てて、あたしを殺……」

西貝はうるさそうに舌打ちをすると、

「はやく殺されちまったらいいじゃないか。(と、つけつけと言って立ちあがると)さっき手紙で呼びよせたのは、こんな用だったのか。……なら、俺あもう帰るぜ」

乾は慌てて、泳ぐような手つきをしながら、

「いや、そうじゃない。こないだ、あんたが言ったものを用達てようと思って、今日用意しておいたんです。……いま出しますから、まあ、もうすこし坐っててくださいよ」