Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
なにかしらひとに顔を合わしたくないようすで、このホテルでは山田と偽名さえしているのである。東京以来、ことにここへきてからの金のつかい方は、すこし度をこえている。〈こんなたくさんなお金はいったいどこから出てくるのだろう。……もしかしたら、警察官などというのは嘘なのではなかろうか。……そして、事によったら…絲満の……〉
ここまで考えてくると、葵の背すじをぞっと寒気に似たものが走るのだった。……ひとつ疑惑をもちだすと、つぎつぎと新しい疑惑がわき起って、葵のこころを責めたてるのである。
〈たぶん、と、葵はかんがえる。……結婚生活による急激な生理的変化が、こんなふうにあたしを神経過敏にしてるのであろう。……あとで考えると、なにもかにも、みなとるにたらない心配だったということになるのかも知れない……〉
葵はすこし息苦しくなり、掌に雨をうけてそれを額にあてた。
隣りの部屋で劇しく水の流れる音がし、まもなく生々と血のいろに頬を染めた久我が浴場から出てきた。おどけたような顔をしながら、
「……そんなところでなにを考えてる。……郷愁かね」
と、いった。葵はつとめて元気な声で、