Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.907 caratteri · 32 schermate

Aozora Bunko

」

「いや、人をやるもやらねえもねえ。」に組は、想い出したように新たに狼狽しながら、「運よくその師匠の文字若さんが、四、五日前から鍋屋さんに泊り込みでね、あっしゃあ今の先、大鍋さんの若い者に叩き出されて駈けつけたんだが、文字若さんの命令で、すぐ、こちらの親分をお迎えにこうしてすっ飛んで来やしたのさ。素人のあっしなんか、どうにも勘考のつけようのねえ不思議な死に様だあね。何て言ったってお前、お美野さんの屍骸がよ、その初太郎てえ野郎の眼の前で、こう宙乗りをやらかしたんでごわすからな――あうへっ! これだけは釘抜の親分も、どうやら手を焼きゃあしねえかと、ま、こいつああっしの、余計な心配かもしれねえが――。」

すっくと起ち上った釘抜藤吉だった。五尺そこそこの矮躯に紺の脚絆、一枚引っかけた盲目縞長ばんてん、刀の下緒のような真田紐を帯代りにちょっきり結んで、なるほど両脚が釘抜のように内側へ曲がっている。いわゆるがに股というなかで、もっとも猛烈な部に属する。慾目にも風采が上っているなどと言えないばかりか、正直のところ、まず珍々妙々なる老爺であった。

藤吉は、鷲掴みにした手拭いをはだけた懐ろから覗かせて、ちょこちょこと土間に降り立った。