Classici giapponesi con furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Leggi 鈴木主水 (すずきもんど) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.827 caratteri · 26 schermate
通りすぎておかしいくらいだが、なにか一点、溶けあえぬものがある。家を思い国を思う真心は、見ねばすむといった浅墓なものではないようである。ではどうするといって、主水の頭から答えは出て来ないが、愚にもつかぬ悪党どもが、自由気儘に跳梁するのを見すごしていては士道の一分が立ちかねる。この世に正邪の別のあることを、せめて思い知らしてやりたい。悪党ばらの一人を刺して、目ざましをくれてやろうと思ったのは、こういう気持からであった。
この頃、酒宴のさなかに踊の心得のあるものが群舞をして興を添えることが恒例になっている。刺したいと思う者はみな群舞の仲間にいる。平素は中門にへだてられて近づくことが出来ないが、その機ならば素懐を遂げられる望みがある。
あの夜、主水は群舞の仲間に入れられ、相手はお糸の方ときめ、続きの間の下座で時のくるのを待っていた。この女体は押原右内の道具のようなものでしかないが、御家頽廃の源の一つはたしかにそこにあるのである。そのうちにお糸の方が舞いだした。毒のある花だが、美しいことは美しい。正目に見るのはこれがはじめてだが、話に聞いていた悪性女の感じはどこにもない。