Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

刑事声には相違ないが、威嚇的の調子は見られなかった。

「不心得をしてはいけないよ」

むしろ訓すような声であった。

「無教育の人間とも見えないが」

刑事は私の足許を見た。

「君、どこに住んでるね」

「市内西区児玉町」

「何だね、一体、商売は?」

私は返事をしなかった。

「ナニ、厭なら云わなくてもいい。君もう家へ帰りたまえ」

刑事は背中を向けようとした。

「僕に家なんかあるものか」

「何イ!」と刑事は振り返った。

「児玉町に住んでいるって云ったじゃアないか!」

「家はあるよ。……だがないんだ」

刑事はしばらく睨んでいた。

「ははあ貴様酔ってるな。……妻君が家に待ってるだろう。……馬鹿を云わずに早く帰れ」

「妻君」と私は肩を上げた。

「妻君は自動車に乗ってったよ」

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刑事はちょっと考えた。

「ふふん、こいつ狂人だな。……死にたければ勝手に死ぬがいい。だがここは俺の管轄だ。……他へ行ってぶら下るがいい」

「妻君は自動車へ乗ってったよ。たった今だ。紳士とな」

「これは可笑しい」と刑事は云った。

「それじゃアあの女を知ってるのか。俺の狙けてる淫売だが」

「あれが僕の妻君さ」

私は何かに駈り立てられた。