Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
あんまり意外な大地震に驚愕して、他人の事なんか考えるひまがなかったのだ。ああそうかと思って附近を見ると、今まで立っていた方々の二階家も見えなくなって、真青に晴れた空が広々と見渡された。一郎は急に、乙子や養子の外に、一の鳥居の岡部の別荘の安否が気になり出した。
誰も彼も、下敷になった二人は圧死したものと思っていたが、甲子の外には涙を流す者もなかった。ちっとも勢が衰えず、ひっきりなしに揺れる地震の脅威に、悲む余裕さえないのであった。
澤は、真先に逃げ出したのが済まない気持はしながら、殆んど気力を失って、何もする事が出来なかった。風邪気で熱のある頭の重たさに悩んでいたのだが、そんな気持は消えてしまって、はげしく動悸のする胸を押えて佇んでいた。彼の頭には、下敷になった二人の事ばかりが渦巻いていた。殊に養子が、むごたらしい死骸になってしまった事を想像すると、昨夜の月光を浴びて立っていた姿や、ずぶ濡の姿が嘘であるか、今の地震が夢であるか、どっちか一つに違いないと思われた。
いつまでも地震は止まなかった。じいやの持って来た鋤や丸太で、男達はしきりに崩れた家のどこかをこじあけようとしたが、きっしりと組合ったまま落ちた家は、微塵も動かなかった。