Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
芝生に倒れて泣いている甲子の側で、老犬は空に向って唸るように吠えていた。
「おや、変な音がするぞ。」
やけになって、丸太で屋根瓦をなぐりつけていた一郎が、振上げた手をそのまま、澤をかえりみた。海の方から、無数の屋根板を吹き飛ばすような、ばらばらばらばら云う音が聞えて来た。
「海嘯じゃあないか。」
地震の後には海嘯があるといういい伝えと、昔鎌倉に大海嘯があって、大仏の御堂もさらわれたと云う記録を思い出した。
「海嘯だ。逃げろ。」
耳をすましていた一郎が上ずった声で絶叫した。女達は一斉に門の方へ駆出した。
一郎は追いすがって、甲子を扶けながら、半分落ちた石橋を越えて往来に出たが、もうその時は海岸から、必死になって山手へ逃る人で、狭い道はいっぱいだった。半分水浸しになったのもあり、顔や手足に負傷して、血をしたたらしているのもあった。
町の店家も、一軒として満足なのはなかった。両側から倒れて道をふさいでいるのを踏越えて、一番近い裏山の松林まで逃げた。見る間に沢山の人数が、そこに避難して来た。幾度も途中で膝をついてしまいそうな甲子を抱えて来た一郎は、自分も息が苦しくなって、大きな松の木の根方に腰を下した。