Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
「何?」
「お静さんは其処に仲間の者が連れて来ているんだ。見るが宜い、向うの天水桶の蔭だよ」
八五郎は思わず小僧の指さす方に眼を向けました。湯島横町の角の天水桶、その蔭に半分隠れて向うを向いているのは、平常八五郎が見なれた単衣、帯、身体の恰好、髪かたち、親分銭形平次の女房お静の後ろ姿に紛れもありません。
「どっこい、飛んで行って、お静さんを奪い取ろうたって、そいつは無理だ。此方にも用心があるんだぜ。親分が橋を渡って、あの天水桶の傍まで行くうち、仲間はじっとして待ってるものか。おいらの手が一つ動いて、約束の品が手に入らないとわかると、お静さんは気の毒だが命はないぜ。仲間の手には人に知れないように、匕首が隠してあるんだ」
「――」
「此方で望んだ品を、橋の上に落して、静かに向うへ行きねえ。おいらがそれを拾って見て、真物とわかれば、お静さんは無事に引渡されるよ」
小僧は実によく行き届きます。
八五郎は忌々しそうに歯噛みをしました。こんな事なら、銭形の親分も、見識張らせずに引っ張って来て、手分けをしてお静を奪い還させるのであったと思いましたが、今更それはどうすることも出来ません。