Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate
「親分さん、私が悪うございました。どうぞ縛って下さい」
打ち萎れて畳に手を突くと、この娘はとんだいじらしくなります。
「よしよし、みんな言うがいい。悪いようにはしない」
「みんな誰かの細工です。父さんがお金を貰って、私にこの役を勤めてみるがいいって言うんです」
「フーム」
「私も、いつまで経っても浮ぶ瀬のない貧乏暮しに、すっかりイヤ気がさしていました。夏になっても冬になっても、着物一枚買うことの出来ないような――」
「…………」
「お前くらいのきりょうなら、立派に旗本のお嬢様で通る。向う様では祝言が嫌さに、どうでも家を飛出したいって言うんだから、これほど功徳なことはない。――それに殿様はそう申しては悪いが、無類のお人好しで、どんな事があったって、お手討などになりっこはないし、こんな面白い狂言があるものかって言うんです」
お転婆で、無法で、冒険好きな下町娘は、果てしもない貧乏に倦みきって、とうとうこんなとんでもない役を買って出ることになったのでしょう。
「それっきりか」
「え」
「お前は大変な間違ったことをしているとは気が付かないだろう。――俺は人様に意見をするほどの年寄りじゃねえが、お前が馬鹿な事をしたばかりに、婆やさんとお前の父親が死ぬような事になったじゃないか」