Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate
「お小夜が殺されたことは聴いたでしょうな」
「いかにも聴きましたよ」
平次の突っ込んだ調子を、鉄心道人は柔かに押し包みました。
「下手人の心当りはありませんか」
「いや少しも、――気の毒なお小夜殿。なぶり殺しに逢うほどの罪はなかったはずだが――」
鉄心道人は眉を垂れて、何やらしばらくは念じております。
「鉄童さんはその晩、確かに外へ出なかったでしょうな」
「出るわけはありませんよ、庵室はこの通りたった二た間、鉄童が臥返りを打ったのも解ります」
鉄心道人の言葉には何の疑いを挟みようもありません。平次は自分ながらこの掛け合いの不手際さにじれ込んでおります。
こうなると平次は、丁寧に挨拶をして引揚げる外に術がありません。もういちど井戸端に廻ると、弟子の鉄童は盥の前にキチンと坐って一生懸命洗濯をしておりました。
「この水は良いだろうな」
「江戸一番の良い水ですよ、この辺は高台だから」
平次の問いに、無造作な調子で鉄童は答えます。
「一杯呑みたいが、柄杓か茶碗を借りたいな」
「ハイ」
鉄童は寺住居の者らしい気軽さで、長刀草履を履いたままお勝手に戻り、中へ入って茶碗を一つ持って来てくれました。