Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate
「何?」
平次も何か駭然とした心持です。
「気の毒なことに、門前で喰い止められて、泣く泣く帰ったそうですが、いずれ明後日は処刑になる小三郎の、助命願いでしょうが――」
「親殺しのお主殺しだ。あの小三郎だけは助けようはないよ。駆け込み訴えもモノによりけりだ」
平次はそう言いきって、心の底から淋しさを感じておりました。島吉に縛られたにしても、小三郎を磔刑柱に上げるまでに運んだのは、何といっても平次のせいだったに違いありません。
「でも、思い詰めて死ぬようなことはないでしょうね。可愛らしい娘だったが」
八五郎までが妙に萎れているのは、お美乃の可愛らしさのせいだったかもわかりません。
「お前さん」
「なんだい」
「お前さん、ちょいと」
女房のお静が、敷居際から妙に声を顫わせております。
「なんだい、そんなとこに突っ立って――借金取りでも来たのかい」
「お嬢さんが、お勝手で、泣いていらっしゃるんですよ」
そう言うお静も、すっかり泣き濡れて、極り悪そうに、顔を反けながら話すのです。
「お嬢さんが――?」
平次はお勝手を覗くと、薄暗い行灯の下、上がり框に近く崩折れたまま泣いているのは、花束を叩き付けたような、痛々しい姿の若い娘。