Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate

Aozora Bunko

「よしッ、それじゃ出かけよう」

「まごまごしていると、市ヶ谷の富蔵親分が、誰彼の見境もなく縛ってしまいますよ」

「縛りたきゃ縛らせておくがいい」

そう言いながらも、事件が思いの外の重大性を持っていそうなのが平次の岡っ引本能を鼓舞します。

飯田橋中坂下の大地主、上総屋に駆け付けた時は、家の中はまだゴッタ返しておりました。

「お、銭形の」

一番早く見付けたのは、山の手で顔を売った御用聞、市ヶ谷の富蔵です。中年者の強かな顔には、さり気ないうちに敵意が燃えて、出来ることなら平次を一歩も中へは入れたくない様子でした。

「市ヶ谷の親分、何か大変なことがあったんだってね」

「まア、見てくれ、白鼠が枡落しに掛ったようなものさ、死んだ上総屋の主人も、とんだ人が悪いよ」

富蔵はそれでも案内顔に先に立ってくれます。

家の中をザッと見て、平次も胸を悪くしました。よくもこう滅茶滅茶に叩きこわしたと思うほど何もかも原形を留めません。床も天井も引き剥がしたまま、壁は落され、炉の灰は掻き廻され、戸棚も箪笥も引っくり返して、千両箱の行方を捜した様子です。

ジロジロ四方から見ている不安な眼差しの中を、富蔵は裏の物置の蔭に案内しました。