Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.130 caratteri · 288 schermate
「それで金蔵は菱屋の養子になれなかったのだな、――利八とは手をきったのかい」
「ええ」
お茂は恥のない顔をあげて、軽蔑しきったように笑いました。白い歯が秋の陽に光って、頬に渦巻く笑靨も、皮膚を透く血の色も、少し赤味を帯びた毛も、恐ろしく魅力的です。
「利八は怒ってるだろう」
「私を殺すって言っているそうですよ。私を殺す前に、金蔵どんをどうかしたんじゃありませんか」
お茂はケロリとしてこんなことを言うのでした。「ただ意味もなく美しく生れついた女」というものを、まのあたりに見るような心持です。
平次はいい加減にしてお茂を諦めると、その辺までついて来た下っ引を走らせて、三年前菱屋が欠所になった時の奉行所記録を調べて貰いました。
「誰が訴人をしたか。罪になったのは誰と誰で、許されたのはどんな人間か。没収になった金はどれぐらいあったか。そんなことを詳しく聴き出して来い、大急ぎだよ」
飛んで行く下っ引を見送って、平次とガラッ八は、近所の賭場や、足軽部屋を一つ一つ覗いて歩きました。お茂に未練があるという、やくざの利八を捜したのです。
一刻ばかりの努力で、ようやく見付けた利八は、平次が予想したのとは、まるっきり違ったタイプの男でした。