Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はせがわくんとよ

長谷川君と余

夏目 漱石

Leggi 長谷川君と余 (はせがわくんとよ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4616 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

当時余も君の向うを張って来客謝絶の看板を懸けていた。もっともこれは創作の低気圧のためであったけれども、来客謝絶は表向き双方同じ事なんだから、この看板を引き下ろさせるだけの縁故も親しみもない両人は、それきり面談をする機会がなかった。

ところがある日の午後湯に行った。着物を脱いで、流しへ這入ろうとして、ふと向うむきになって洗っている人の横顔を見ると、長谷川君である。余は長谷川さんと声をかけた。それまではまるで気がつかなかった君は、顔を上げて、やあと云った。湯の中ではそれぎりしか口を利かなかった。何でも暑い時分の事と覚えている。余が身体を拭いて、茣蓙の敷いてある縁先で、団扇を使って涼んでいると、やがて長谷川君が上がって来た。まず眼鏡をかけて、余を見つけ出して、向うから話しを始めた。双方とも真赤裸のように記憶している。しかし長谷川君の話し方は初対面の折露西亜の政党を論じた時と毫も異なるところなく、呂音で落ちついて、ゆっくりしているものだから、全く赤裸と釣り合わない。君は少しも顧慮する気色も見えず醇々として頭の悪い事を説かれた。何でも去年とか一度卒倒して、しばらく田端辺で休養していたので、今じゃ少しは好いようだとかいう話しであった。