Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もん

門

夏目 漱石

Leggi 門 (もん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.830 caratteri · 278 schermate

Aozora Bunko

宗助は一応室の内を見回して、この親子のほかに、まだ一人妙な男が、一番入口に近い所に畏まっているのを見出した。

宗助は坐って五分と立たないうちに、先刻の笑声は、この変な男と坂井の家族との間に取り換わされた問答から出る事を知った。男は砂埃でざらつきそうな赤い毛と、日に焼けて生涯褪めっこない強い色を有っていた。瀬戸物の釦の着いた白木綿の襯衣を着て、手織の硬い布子の襟から財布の紐みたような長い丸打をかけた様子は、滅多に東京などへ出る機会のない遠い山の国のものとしか受け取れなかった。その上男はこの寒いのに膝小僧を少し出して、紺の落ちた小倉の帯の尻に差した手拭を抜いては鼻の下を擦った。

「これは甲斐の国から反物を背負ってわざわざ東京まで出て来る男なんです」と坂井の主人が紹介すると、男は宗助の方を向いて、

「どうか旦那、一つ買っておくれ」と挨拶をした。

なるほど銘仙だの御召だの、白紬だのがそこら一面に取り散らしてあった。宗助はこの男の形装や言葉遣のおかしい割に、立派な品物を背中へ乗せて歩行くのをむしろ不思議に思った。主人の細君の説明によると、この織屋の住んでいる村は焼石ばかりで、米も粟も収れないから、やむを得ず桑を植えて蚕を飼うんだそうであるが、よほど貧しい所と見えて、柱時計を持っている家が一軒だけで、高等小学へ通う小供