Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
、それにしても、彼女が私に対して余程の信頼と好意を持っていないでは、こんな相談がかけられるものではないのだ。
云うまでもなく、私は静子の申出を容れて、出来る丈けの助力をすることを承諾した。大江春泥が静子の行動を、これ程巨細に知る為には、小山田家の召使を買収するか、彼自身が邸内に忍込んで、静子の身近く身をひそめているか、又はそれに近い悪企みが行われていたと考える外はなかった。彼の作風から推察しても、春泥はそんな変てこな真似をし兼ねない男なのだから。私はそれについて、静子の心当りを尋ねて見たが、不思議なことには、その様な形跡は少しもないということであった。召使達は気心の分った長年住込みのものばかりだし、邸の門や塀などは主人が人一倍神経質の方で、可也厳重に出来ているし、それに仮令邸内に忍び込めたところで、召使達の目にふれないで、奥まった部屋にいる静子の身辺に近づくことは、殆ど不可能だということであった。
だが、実を云うと私は大江春泥の実行力を軽蔑していた。高が探偵小説家の彼に、どれ程のことが出来るものか。せいぜい御手のものの手紙の文章で静子を怖がらせる位のことで、迚もそれ以上の悪企みが実行出来る筈はない。