Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がん

雁

森 鴎外

Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate

Aozora Bunko

同じ虞初新誌の中に、今一つ岡田の好きな文章がある。それは小青伝であった。その伝に書いてある女、新しい詞で形容すれば、死の天使を閾の外に待たせて置いて、徐かに脂粉の粧を擬すとでも云うような、美しさを性命にしているあの女が、どんなにか岡田の同情を動かしたであろう。女と云うものは岡田のためには、只美しい物、愛すべき物であって、どんな境遇にも安んじて、その美しさ、愛らしさを護持していなくてはならぬように感ぜられた。それには平生香奩体の詩を読んだり、sentimental な、fatalistique な明清の所謂才人の文章を読んだりして、知らず識らずの間にその影響を受けていた為めもあるだろう。

岡田は窓の女に会釈をするようになってから余程久しくなっても、その女の身の上を探って見ようともしなかった。無論家の様子や、女の身なりで、囲物だろうとは察した。しかし別段それを不快にも思わない。名も知らぬが、強いて知ろうともしない。標札を見たら、名が分かるだろうと思ったこともあるが、窓に女のいる時は女に遠慮をする。そうでない時は近処の人や、往来の人の人目を憚る。とうとう庇の蔭になっている小さい木札に、どんな字が書いてあるか見ずにいたのである。