Classici giapponesi con furigana
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がん
雁
Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate
と云って追い返した。そこへ丁度岡田が通り掛かって、帽を脱いで会釈をした。お玉は帚を持ったまま顔を真っ赤にして棒立に立っていたが、何も言うことが出来ずに、岡田を行き過ぎさせてしまった。お玉は手を焼いた火箸をほうり出すように帚を棄てて、雪踏を脱いで急いで上がった。
お玉は箱火鉢の傍へすわって、火をいじりながら思った。まあ、私はなんと云う馬鹿だろう。きょうのような涼しい日には、もう窓を開けて覗いていては可笑しいと思って、余計な掃除の真似なんぞをして、切角待っていた癖に、いざと云う場になると、なんにも言うことが出来なかった。檀那の前では間の悪いような風はしていても、言おうとさえ思えば、どんな事でも言われぬことは無い。それに岡田さんにはなぜ声が掛けられなかったのだろう。あんなにお世話になったのだから、お礼を言うのは当前だ。それがきょう言われぬようでは、あの方に物を言う折は無くなってしまうかも知れない。梅を使にして何か持たせて上げようと思っても、それは出来ず、お目に掛かっても、物を言うことが出来なくては、どうにも為様がなくなってしまう。一体わたしはあの時なぜ声が出なかったのだろう。