Classici giapponesi con furigana
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がん
雁
Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate
煮肴に羊栖菜や相良麩が附けてあると、もうそろそろこの嗅覚の hallucination が起り掛かる。そしてそれが青魚の未醤煮に至って窮極の程度に達する。
然るにその青魚の未醤煮が或日上条の晩飯の膳に上った。いつも膳が出ると直ぐに箸を取る僕が躊躇しているので、女中が僕の顔を見て云った。
「あなた青魚がお嫌」
「さあ青魚は嫌じゃない。焼いたのなら随分食うが、未醤煮は閉口だ」
「まあ。お上さんが存じませんもんですから。なんなら玉子でも持ってまいりましょうか」こう云って立ちそうにした。
「待て」と僕は云った。「実はまだ腹も透いていないから、散歩をして来よう。お上さんにはなんとでも云って置いてくれ。菜が気に入らなかったなんて云うなよ。余計な心配をさせなくても好いから」
「それでもなんだかお気の毒様で」
「馬鹿を言え」
僕が立って袴を穿き掛けたので、女中は膳を持って廊下へ出た。僕は隣の部屋へ声を掛けた。
「おい。岡田君いるか」
「いる。何か用かい」岡田ははっきりした声で答えた。
「用ではないがね、散歩に出て、帰りに豊国屋へでも往こうかと思うのだ。一しょに来ないか」
「行こう。