Classici giapponesi con furigana
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ざっきちょうより(いち)
雑記帳より(Ⅰ)
寺田 寅彦
Leggi 雑記帳より(Ⅰ) (ざっきちょうより(いち)) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2305 caratteri · 5 schermate
一
フランスの絵入雑誌を見ていると、モロッコ地方の叛徒の討伐に関する写真ニュースが数々掲載されている。それらの写真の下にある説明の文句を読んで見ると「モロッコ地方の Pacification のエピソード」と云ったような言葉が使ってある。直訳なら「平和化」で、先ず「平定」とでも訳する所であろうが、とにかくフランス人らしい巧妙な措辞である。「誅戮」「討伐」「征伐」「征討」などと、武張ったどこかの国のジャーナリストなら書きたい所であろう。それを「平和化」と云ったところはやはりフランス人である。
こんなことを考えてから間もなくのことである。ある有名な日本の歴史家がその著書の中に「朝鮮征伐」という文字を使ったのが甚だ不都合だと云って、某新聞の投書欄でひどく腹を立てた人があった。歴史家も日本人なら、この投書家も日本人である。
老子にこんな言葉があった。「果而勿矜。果而勿伐。果而勿驕。果而勿不得止。果而勿強。」老子はなかなかフランス人であったと見える。
二
夜、丸の内の淋しい町を歩いていたとき、子供を負ぶった見窄らしい中年の男に亀井戸玉の井までの道を聞かれ、それが電車でなく徒歩で行くのだと聞いて不審をいだき、同情してみたり、また嘘つきのかたりではないかと疑ぐってみたりしたことがあった