Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
彼はそれを売るつもりで持って来たのであったが、それを主人に見せると同時に急に惜しくなったばかりでなく、なぜかそれは自分にとって売ってはならぬ意味のある物のようににわかに思われてきたのであった。そうしてそう答えたのにホッと安心した一息をもらして、漢書の金を受け取ると、またその鋳物をふところにして愴惶と店を出た。
「これでおれはまた、二度や三度はあの女にあう事ができるのだ。確実に。」
こう思うと彼はもう胸がぞくぞくとおどるように身をふるわせた。そして興奮した足どりで、北風に逆らいながら坂道を上って行った時、
「萩原さん」と後ろから思いがけない声がした。
彼は振り返った。そして一人の青年が小走りに彼を追って来るのを見た。
「藤田君?」
と裕佐はいった。そしてサッと顔をあからめながらも何か思いがけぬ喜びに出あったように、にこにこして逆戻りにそちらへ近づいて行った。
「しばらく。どうもあなたじゃないかと思った。」
と青年は寒気の中を急いだためにその健康な色の頬をなおりんごのように紅くし、汗ばんだその額を一ぬぐいして、息を吐きながらいった。
「ほんとうにしばらく。すっかりごぶさたしてしまって。