Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
その瞬間その男は裕佐に追いつきながら、
「おや、萩原じゃないか。」と声をかけた。
「そうだ。萩原だ。君は……」
「わしじゃ。わからんかね。富井じゃよ。」
「わかってるくせに、とぼけるな」というように男はいった。そして頭巾を取った。
「わしは今な、おぬしの家へ行ったのじゃよ。おぬしは近ごろ毎日のように家を明かすといって伯母さんはこぼしてじゃったぜ。」孫四郎は歯の抜けた口を開いて声もなく笑いながらいった。「ご心配なさるな。あの仁は堅いでと、わしはいって来たじゃ。はっは。」
「だが変なところであったな。どこへ。今ごろ。」
孫四郎はまたこういいながら、裕佐の身なりをわざとらしくじろじろとみつめて付け足した。「どうしたね。えろう伊達ななりをしてござるじゃないか。わしのところへ見える時とは別人のなりじゃ。」
そして彼はまた意味ありげに前の方を頤でしゃくって見せた。その小路を行けば丸山へ出るということを諷するように。
「丸山へ行くのさ。」と裕佐はいった。「僕が丸山へ行くということが君はそんなに興味があるのかね。」
「そうさね、清廉高潔な君子然たる仁がびくびくものでこっそり悪所通いをやっているところを見つけちまうなぞは、とかく人のおもしろがるこっちゃてな。