Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
「ぬしはまた売っちまったんだろうが。え? おれにかくして。」
孫四郎の調子にはもうやや刺があった。その刺にさされて、隣の四畳で針仕事をしていた細君はやぶれた襖をあけた。
「まあ、『また』なんてだれがいつそんなことをしましたろうか。」
やや上気した頬のあか味のために剃った眉のあとがことに蒼く見える細君はこういいながら、はじらいげにほほえんだ会釈を客の裕佐の方へなげ、
「まあ、この散らかし方! まるで屑屋さんのようですわ。」
と尻あがりの調子でいって、ちょっと突っ立った。
「貴様、さがして見い、ありゃせん。」
孫四郎は邪慳にこういい捨てて敷けばかえって冷たそうな板のように重い座ぶとんをドサリとわきへほうりなげ、長煙管の雁首で、鉄に銀の象嵌をした朝鮮の煙草箱を引き寄せながらその長い膝をグッと突き出してすわった。
「そりゃこんなもんよりゃずっと傑作じゃ。この間の縁日の虎をさっそくやって見たんじゃがな。」
彼はこういってひょろ長いからだの居ずまいを直し、裕佐が縁近く持ち出してあぐらをかいて見ていた一枚の絵を煙管でさした。それは山田長政が象に乗ってシャムの国王のところに婿入りをする図で、版画にする原画であった。